乳歯のときに治療したい歯並び

生活環境が原因の不正咬合には、指しゃぶりやおしゃぶりの間違った使い方などで起きたクセによる出っ歯(上顎前突)と開咬があります。
成長につれてきちんと噛んで食べられるようになると、指しゃぶりのクセも自然に減っていきます。くちびるを閉じて前歯で噛み切って食べることを教えます。

遺伝による不正咬合の中に、受け口(反対咬合)がありますが、3歳から4歳ごろには自然に良くなることもあります。最近では、3歳健診で改善の傾向が見受けられない場合は初期治療をお薦めしています。

初期治療は、あごの変形が定着してしまう前にクセを止めたり、あごの形や位置を変えて、永久歯列では正しい歯並びになるよう手伝うことが目的です。
「いつ・なにを・なぜ」治療するのか、矯正治療では本人だけでなく親御さんの協力も大事となるので検査をうけ、治療計画に納得していただいた方だけ治療を開始します。

あごの正常な発達を促す環境づくり

初期治療では、まず生活習慣の見直しをしていただきます。睡眠・食事・運動・排便などに問題がないか、生活リズムは乱れていないか、食事前にお腹が空かないということはないか。
生活リズムを整え、食事前にお腹が空いて、きちんと食べられるようにしてもらいます。

食事は、大きめの煮野菜や、りんごのまるかじりなど前歯でかみ切り、唇を閉じて噛んで食べれるように教えます。

指しゃぶりで顔がゆがむ・歯並びが悪くなる

指しゃぶりのクセが続くと、歯並びやあごの成長に悪影響が現れることがあります。
下記では典型的な指しゃぶりで歯並びが悪くなった患者様の治療例を紹介します。
どちらも早期に治療を開始することで大人になって成長した時にいろいろな不具合を未然に防ぐことができます。

開咬・上顎前突

7歳女児のケース

生活リズムと食生活について学んでもらい、噛んで食べることを毎日の生活の中で実行してもらいます。
このケースの場合、歯に装置を付けずに治りました。
治療前歯列は指が入る形に変形し、開咬と上顎前突になっている。
治療後指しゃぶりのクセがなおり、噛む機能が回復している。

開咬のくわしい説明はこちら。 

顔のゆがみ
指しゃぶりが強いと、上あごがV字型に狭くなります。
上下の歯の噛み合わせがすれ、しだいにずれた位置で噛み合わせるようになり、顔が左右対称ではなくなります。
矯正装置を付けて治療して顔の対称性もあります。

V字型に変形した上あご
下あごを左にずらして噛んでいる 
矯正装置でV字型の上あごを拡大する